(8)高濃度ビタミンC点滴療法について
**高濃度ビタミンC点滴療法(IVC:Intravenous Vitamin C Therapy)**は、通常の経口摂取では得られないほど高い血中濃度のビタミンCを、点滴によって直接体内に投与する治療法です。主に美容、アンチエイジング、免疫強化、がん補助療法などを目的として用いられます。経口摂取では吸収量に限界がありますが、点滴なら25g〜100gという非常に高濃度のビタミンCを直接血中に投与可能であり、血中濃度は経口摂取の約100倍にも達することがあります。美容効果としては美白、シミ・くすみの改善、コラーゲン生成促進があります。免疫を強化する作用もあり、風邪予防、疲労回復、抗ストレス作用があります。また、活性酸素除去、抗酸化作用による老化予防の効果が期待されます。また、がん治療の補助としての効果が報告されています。一部の研究では、高濃度ビタミンCが、体内で過酸化水素を発生させ、がん細胞の増殖抑制に寄与する可能性が示唆されています。ただしG6PD欠損症の方は高濃度ビタミンC点滴により溶血する可能性があり、禁忌になります。また、腎機能に大きな負担がかかるため、高度の腎機能障害の患者さまも禁忌になります。以前はアメリカでは代替療法として医療用に調剤された過酸化水素の点滴が、高濃度ビタミンC点滴と同様の作用機序にて、がん治療などにも使用されていましたが、すっかり高濃度ビタミンCに取って代わられてしまい、今ではアメリカの調剤薬局で過酸化水素を手に入れることが出来なくなってしまいました。